
大阪国際工科専門職大学 学長
吉川 弘之
東京大学総長、国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長などを歴任し、2014年には日本の科学者として最も権威ある日本学士院会員となる。現在、東京大学名誉教授、英国王立工学アカデミー会員、スウェーデン王立科学アカデミー会員、ノルウェー科学アカデミー会員、独立行政法人日本学術振興会学術最高顧問などを務める。
全く新しい「理想の大学教育」の誕生
なぜ「専門職大学」が制定されたのか
我が国には、大学(大学院)、短期大学、高等専門学校、専門学校、省庁大学校など、多様な性質を持つ高等教育機関があります。その中で、これまでの大学は一定の専門分野に特化した「専門家」を育成してきました。
しかし、実は社会の成り立ちは、工学・理学・社会科学・人文学……等の学問分野にきっちり分かれてはいません。特に多様な課題を抱えていている現代社会では特定分野の専門性だけでは対応できなくなり、既存の学問分野の枠組みにとらわれない柔軟な課題解決策が必要になってきました。
そこで、私たちの「専門職大学」は従来の大学とは全く異なる新・大学制度として、人々が真に求める善き社会を実現するために必要なイノベーションを生み出すために、分野を横断した幅広い学問的知識と技能を身につけた「専門職」人材を輩出すべく誕生したのです。
本学の「新しい学び」
さらに本学は専門職大学の特色をより発展させ、カリキュラム、授業スタイル、教員組織、産業界との連携など、各方面で今までにない実社会に通用する教育を目指す大学機関となっています。
例えば、専門職大学では必修単位のおよそ3分の1を占める実習授業において、本学では産業界や地域社会における現実的な課題に取り組む“課題解決型学習(PBL=Project Based Learning)”を重視し、専門知識や実践力だけでなく実社会で必要な課題発見能力や課題解決能力も身につけられるような特長的なプログラムにしています。
また、専門職大学制度の特長の一つとして原則40人以下の少人数授業が挙げられますが、本学ではさらに学生と教員の一体感を大切にするため、授業科目とは別に学生およそ10人を単位とする少人数グループの担任制度を1年次から導入しました。その担任教員は学生のメンター的役割を果たし、日々の学修から進路まで気軽に相談に応じていきます。このように授業内外における丁寧な指導によって、学生一人ひとりの夢の実現を支援する体制も整えました。
私自身、長い間大学で教育に携わりながら、社会が急速に進展するこの現代で、本当に社会から求められる「新しい人材」の育成が進まない大学教育に限界を感じていましたが、本学にはそれを超越する学びがあります。専門職の経験豊富な教員たちの手厚いサポートのもと、講義、演習、実習、インターンシップ、産業人や地域社会との交流などを通じて、〈学問〉と〈実務〉を並行して効果的に学ぶことができるのです。
これこそが、長年私がつくりたかった困難な時代の中で意欲的に働く若者が生まれる理想の大学教育だと確信しています。4年間の学びを通じ、身につけた知識・技能を社会の課題解決に応用して「善き社会」づくりに貢献できる専門職人材=“Designer in Society(社会とともにあるデザイナー)”に育っていくことでしょう。
社会の期待に応える「夢の実現」のための能力を身につける大学。それが大阪国際工科専門職大学です。